本番までのステップ
年長になってから初めての鼓隊の取り組みとして運動会での発表が出来るように設定していますが、期間をゆったりとって年中からはじめてもかまいません、年少からはじめる場合は、年少のみの区分のさらにシンプルで間合いの開いた楽しいリズム表現にして下さい(無理に先取りしようとしないでください、年長からでも十分です、年中、年少に楽器技術的な訓練はあまり必要ありません)。
まず、次の7つのステップを設定して進めますが、それぞれのステップごとの節目になる最初の日に演奏演技する幼児全員を集めて行う保育の内容と、その日をきっかけに展開する指導内容を解説します、1、企画は職員のみの打ち合わせです。
1.企 画(3月〜4月)
曲目、リズム、構成の決定 年間スケジュール(残り6ステップの日程)を職員の打ち合わせで決める
基本練習の開始(全員に基本を楽しく浸透させる)。基本リズムと、バチを顔の横で垂直に立てた形=「11の字」の姿勢をしっかり意識させる(非常に大切です)この段階から一発打ち(バシッ!っと1回だけ打って音の揃いを聞き分ける)をして11の字をピッ!と決める、音が揃う感覚を身に付けておくと、曲に入っても揃いやすく音楽とも合い易くなります、一発打ちから数を増やしていろいろな基本リズムパターンも鋭く打てるようにします(楽器は使わず全員バチ打ちのみ、初めは割り箸や竹箸を使うのが効果的)。
休め気を付けの掛け声を覚える(ワン ツースリーフォー!)元気良く!が最も大事、ピーピッ!っと笛が鳴ったらすぐ元気良くワンツースリーフォーと言えるようにしておきます(もちろん休め気を付けをしながら)、これが出来るようになったら笛を吹くタイミングを早めにして全体の指導のテンポを速めたり集中させたりに活用します、新たにリズム打ちに入る時や基本リズムで音楽に合わせるときなどは集中させるために積極的に使います(集中のルーテーィーンと呼んでいます、重要性は高まっています)。
「ほらほらこっち向いて、静かに!」なんて言ってるよりはすぐ笛を鋭く吹いて!ワンツースリーフォー!元気よく言わせて集中してからすぐ間髪をいれずに「はい!しっかり並びましょう!きちんと前を向いて!もう一度!!」「ピーピッ!」「ワンツースリーフォー!!」この方がすばやく集中しますし10秒以内〜20秒くらいで準備完了になります、その為にあるのです。(実際は「ピーピッ!」「ワンツースリーフォー!!」休め、「ピーピッ!」「ワンツースリーフォー!!」気をつけ(ここまで動作は4拍目)、この次の「ピーピッ!」「ワンツースリーフォー!!」で11の字の構えに入りますから、2回目の笛で気をつけをしてから再度指示を出すようにします)。
2.楽器紹介(4月〜5月)
楽器との印象的な出会いを演出して楽器ごとのイメージを持たせる(全体指導が望ましい)、楽器の使い方、かっこいい音の様子、マナー、注意点、などを子供たちにお話交じりに楽器ごとに説明して取り組みのイメージを伝え期待感を高める、(全員が同じ条件でスタートすると言うことが大事、指揮者も全員で(100人いれば100人で)短い課題(一人1分ぐらい、回転運動が最適)に取り組み一定期間見守ってこの期間最後まで取り組んでいた子供から選出すると、指揮者が選出された時点でレベルの高い練習から開始できる、すぐフロントスピンや体面回しに挑戦できます!)。
楽器配分の考え方としては、全員いっせいに曲のリズム打ち練習に入って(楽器は使いません、箸かバチ打ちのみ)曲のイメージをやや掴んでから、取組状況を見て個別の実技能力を判断してから楽器配分を決める、決して急がず、曲のイメージと主要なリズムを掴んでからの方が各楽器パートに入りやすい事に注意。そのため楽器紹介と前後してバチだけでの演奏曲のリズム練習開始、全員で曲のイメージとリズムを覚える、この期間、教師は子供の個々の特性と適性を注意深く見守り、楽器の役割配分を決定する。
(「うちではいつでも子供たちが楽器に触れるようにしています」と言う園がたまにありますが、一定のレクチャーが無ければ単なる放置は感心しません、おもちゃとして馴れてしまうだけの恐れもあるので、大事にしまっていて、使うときにしっかりと楽器としての生きた音を体験させた方がより高いモチベーションを維持できます)楽器は渡したときが出来るとき!、それまでは大事にしまってあるのです、太鼓は特に太鼓が無くてもある程度完成度の高い練習が可能ですから、太鼓を持った日から上手に打てた体験は将来の積極性を育みます、ですから、楽器配分決定は急がず子供たちをよく観察してから決めてください。
3.楽器発表(楽器紹介の後10日〜2週間程度)
パートの分担を発表する、全員の前で発表し大きな返事で立たせ、拍手で讚えることで選ばれて楽器を任された意識を持たせる、発表手順は人気楽器から発表する、希望楽器に必ずしも当たらないこと、希望楽器でなかった子が頑張って大変上手くなった事例など前もって話しておく事、クラスごとに並び、座らせて楽器ごとに一人づつ名前を呼んで起立させます、パートの呼ばれた全員が立ったら「あなたたちは・・・の楽器に選ばれました!頑張って出来ますか?!!」とはっきりと声を掛け「はーい!」と返事をさせてから全員の拍手で讃えます、「それではこちらにお並びください!」とすぐパートごとの列に並ばせておくと混乱が無く次の練習に誘導しやすくなります、厳かなセレモニーとして幼児言葉は使わないようにしましょう、皆で選ばれたことに喜びを感じる瞬間にします、きちんとやっておくと父母からの苦情も出ません。楽器が決まったのでパート練習開始です、始めから本番の隊形順に近い並び方で練習できるようにしましょう。
4.全体合わせ(楽器発表から約1ヶ月〜2ヶ月)
指揮者、カラーガード、太鼓類全体を屋内のお遊戯室で合わせる、本番の演奏手順どうりの流れをつかむように練習し、音楽面の調整、音量バランスなどのチェックをしておきます、曲、演技の完成、この段階少し前から絵譜を見ないで指導者の指揮に集中するようにします、指揮をする指導者がいる場合は打つ動作やカラーガードなどの演技指示方法に注意、前拍からの指示方法や振りの跳ね方に注意してオーバーアクションにならないように軽快に鋭めにすると、音や動きがそろいやすくなります(11の字を強調するようにやや大きめに鋭く突き上げるのは必要な場合があります)、全員が心を一つにして演奏演技に取り組む集中のさせ方を確認します。
5.外練習開始(全体合わせの1週間〜2週間後)
1曲に何コマものドリルフォーメーションをする場合はもっと早くから歩行練習(基本動作MM)をする必要がありますし後記のような数回の練習では収まりませんが、基本的に板付き演奏+シンプル移動を採用した場合はこのくらいのタイミングで隊形練習を始めても間に合います、初めての野外にての練習開始です。
ドリルフォーメーションの練習は初めは楽器を使わず入場から、体形変換の流れを覚える(次々と隊形を進めるよりは、一つの隊形ごとに「巻き戻し?」で前の形に戻しながら確実に進める、3回目ぐらいでスムーズに到着できるようにになったら次の形へ行く、到着したら「気をつけー!かっこよく並んでますかあー!周りをよーく見てごらん!」並んだことを意識させる)、楽器を打っての入場練習の前に整列のまま野外での一発打ちをやってみて音の響きを体感させる、しっかり揃って歯切れの良い音になったら褒めておくこと。
集中を切らさないように素早い指示が必要、初めの整列への集合を素早く、楽器の準備、収納は子供たちの手で出来るようにしておくこと。目標は設定保育時間2回〜3回でとりあえず退場まで行くことが出来る程度のフォーメーション内容がリスクが少ないです、集中しにくい野外練習でおしっこ休憩を取りながら(場所によっては無理?)課題を修正し後2〜3回で次の仕上げ段階に行くのが理想です。
遠く離れた指揮の先生にも集中できるように指導者の位置配分が重要です、PAの音量、スピーカーの位置と向きに注意、子供たちの中にしゃがんで音楽がちゃんと聞こえているか確認すること、楽しいうれしいマーチングの取り組みはこれまでの過程で決まります。
6.仕上げ
教師の指示、指揮等を必要とせずに子供たちだけで入場から退場まで完了できること(きちんとその旨伝えてからやらせてみること)、教師が客観的に全体をチェックできる、総練習や本番まで2週間程度の頃が理想的(他の競技やお遊戯との兼ね合いで切羽詰らないように)、「3つのお約束!元気よく!きょろきょろしない!かっこいい楽しいお顔!」などと本番の目標を決めておきましょう!
何回もランスルー(通し練習)はしない、疲れるだけです、早めに到達しても目標のはっきりしないような先生が安心したいだけのしつこい反復練習はかえって集中力を低下させることに注意、少し部分練習をして良くなったか、まだもう少しか、ちゃんと何が目標か伝えて一発通し!と言う方が効率的です、子供の1日の集中力は1.7回分ぐらいと思ってください、仕上げが終わったら部分調整をして総練習に向かいます。
7.本 番 運動会の会場は父母席が全周でない方が好ましく、はっきり正面を設定した演技体形で演奏する事が望ましいですが、最近はビデオ写真撮影エリアを正面に作る園が多いようです、距離による音のずれ、スピーカーの位置による音量バランスに注意、音楽、演技を纏めるのは一点集中、子供たちにいつどこに注目するかを指示して確認しておきましょう。
本番の準備やセッテイングで間違ったりトラブり易いのは子供より大人です、冷静にチェックして始めましょう、スタート前の号令の後の掛け声(1・2・3・4 = ワン・ツゥー・スリー・フォー)は元気なかったりタイミングがずれたら必ずしっかりするようにもう一度やり直すこと。
アリーナやセレモニー会場での出演の場合、前もってリハーサルが出来ることがありますが、そのときは本番どおりに通すことはしないでください、大事なところは続けても差しさわりの無い曲の途中でカットしてはっきり止めて練習であることを意識させます、新しい会場で興奮気味な子供たちは最初のランスルーに貴重な集中力を使いきってしまうことがあるからです、「練習は上手かったのにイー?」と言うことがよくあります、子供の1日の集中力は1.7回分をお忘れなく、リフレッシュが上手で2回分以上を引き出すベテラン先生も稀にはいますが・・・・。
演奏演技の流れ(曲目やショーアップの演目によって違いますが、基本的な流れを紹介します)
1.入 場
指揮者の合図→P〜P!1234(休め)P〜P!1234(気をつけ)P〜P! 1234(構え)ドラムマーチで入場の時はPPP!で演奏開始、P〜P!で前進開始 到着したら停止の合図P〜P!PPP!
2.一曲目演奏
指揮者の合図→P〜P!1234(構え)構え等の準備を待って曲をスタートさせる。
3.体形変換
体形変換は曲の演奏中にフォーメーションとして行うものと板付き演奏の合間のドラムマーチで行うものがあるがドラムマーチの時は指揮者の合図→P〜P!PPP!到着したら停止の合図P〜P!PPP!
4.二曲目演奏
指揮者の合図→P〜P!1234(構え) 構え等の準備を待って曲をスタートさせる。
5.退 場 指揮者の合図→P〜P!1234(構え)構え等の準備を待って退場曲をスタート、ドラムマーチで退場の時はPPP!で演奏開始、P〜P!で前進開始 到着したら停止の合図P〜P!PPP! 指揮者は残って演技終了の敬礼を行う
指導のポイント
目的は楽器の英才教育ではありません、立派な大人へ成長してゆくための幼児期の効果的な教育として鼓隊リズム表現を採用しているのです、園の特色として推進していますが園児獲得競争の道具ではありません、但しこの取り組みに共感して多くの父母がお子様を園児として預けていただけることは切なる願いであり、責任を持って教育成果を発揮することがいつまでも変わらぬ目標なのです。
目標は「明るく元気に自己表現の出来る自立した人格の形成」です、それにはこのCD鼓隊は非常に効果的で感動的なのです。
まず、一点集中、子供たちの目をよく見て、集中させることに心がけて下さい、不用意に待たせる事が多かったり指示が明確でないと人の話を聞けない集中しにくい子供集団にしてしまいます。
CD鼓隊のリズムははっきり口唱和出来れば大丈夫です、楽器でやってみる前に発声練習とバチ打ちをやってみて、十分できる準備を整えて下さい、出来るようにしてから楽器で演奏してみるのがコツです、そうすると楽しさは最高になります。
音楽技術的指導上のことでは叱ることはあり得ません、言葉遣い、態度などの生活習慣上のことは毅然とした注意が必要な事はありますが、上手だったりうまく出来たときはどんどん皆の前で褒めてあげましょう!。
いちばん出来ない子供を基準にして指導しましょう、個別に当ててやらせてみるときはいちばん出来そうにない子から、出来る子は後回し、と言うのは、出来にくい子からはじめに教えてあげて少しづつで来そうな子に移っていくと皆がどうすれば良いのかの手順がわかり易いのです、出来にくい子に親切に教えてあげて皆の理解につながれば一石二鳥です、その方が全体の理解の近道です。
遊び方を伝えるときやクイズを出すときのように伝えて下さい、教え方ではなく伝え方です、教師側から指摘するよりは子供たちから引きだしてみて下さい、先生が解説するより良く注目して聞いてくれます、タイミングやテンポの指示は いっせえのオでエ ではなく 1・2・3・はい!鋭くはっきり!CDの代わりにメロディーを替え歌やスキャットでどんどん歌って引っ張ってあげて下さい、早さも楽しく色々に(ゆっくりの象さんテンポや素早いネズミさんテンポ?)テンポミスに強くなり、リズムがずれても戻れるようになります。
絵譜は全員で見れる大きなものを作って(クラス用のA1版は注文できます)音楽に合わせて指し示します、絵譜の指示の仕方は指揮者の指揮と一緒です、ちょっとした差し方の違いでも出来方が違ってきます、指差し棒や指示棒で差すときはリズムの絵に磁石が吸い付くような指し方が好結果のようです、あまり飛び跳ねるように絵を打つとわかりにくいようです、音楽と同時に絵を指すよりは一瞬早めに指せることが大事、前の小節の最後の休符の頃には次の小節の絵の上に移っていた方が良く揃います、一拍前動作(アゥフタクト)を意識してみてください、タイミングを合わせる基本です、絵譜を活用するといろんな指導が可能です。
CD鼓隊指導のコツ
選 曲
知っている曲に要注意、知っているからといって、取り組みやすく 効果的とは限りません、特徴的で聞きやすく、シンプルな曲を選びましょう
挨拶はしっかり元気よく
けじめのある初め方、終わり方でなければ、楽しい練習になりません。「おはようございます!!」「よろしくおねがいします!」「これでマーチングの練習は終わります!!」「ありがとうございました!」
優等生よりは悪ガキ?
優等生が先に出来てしまうと、悪ガキ?達はすぐに興味を失います、むしろ 引っ込み思案だったり消極的な子やいたずらっ子に先にやらせてみて皆で
応援するように交代でやってみます、少しでも出来たら褒められれば皆自分もやってみようと頑張り始めます皆で挑戦してだんだん出来るようになってきたときは優等生さんに順番が回ってきてももう殆どの子供たちが出来るか理解しているのです。もどかしい思いはしても皆が同様に
理解するための最も早道なのです、優等生は最後の最後で十分、それまでに皆が出来るようになってしまうのが目標です。(愛情を込めて悪ガキと言ってますが、積極的ないたずら好きな子や言葉が乱暴になってしまう子などいろいろですが、先生を困らせる個性的な子供たちはどこにでもいます、そういう子達ときちんと向き合うと、意外と頼りになったり、かえって皆のまとまりに貢献したりするものです、出来なくても少しづつ出来るようになってるから大丈夫!と安心させるととても良い子になるでしょう)
イメージ指導
「まずはね、こんなふうにやってみるよ」と、イメージ付けからはじめます、 「むずかしいかもしれないよ?」いろいろ想像させておいて身振り手まねから
やっておいて、そして目処がついたらやっと現物が出てくる、「なーるほど!」となるような感じに持っていくと楽しい導入になります。新鮮さが命、どんな練習も第一印象が勝負です、少しでも先取りしようとするよりは最初のイメージを大事にすることの方が、集中力、理解力において好結
果が得られます、常に新鮮な導入を心がけて下さい。
絵譜指導の進め方
1.基礎リズムの指導
この段階は、姿勢、バチのはね上げ(11の字)、発声(ハッキリと口唱和)と、いくつかの基礎リズムを覚えて、テンポ間隔、揃ったときの音のニュアンスを体験します(ドン!と1回だけ鋭く打ってぴしっと11の字を決める、この、音が揃ったときの感覚が重要です、しっかり元気よくカッコ良く打てたら良い点数を付けてあげて下さい、微妙な違いは点数で表すと楽しいです)!「お上手」よりは「元気よくハッキリと」の段階です。
はじめに覚える基礎リズムについて 導入は画用紙などに基礎リズムの絵を描いて、それを先生が一つづつ出したり並べたりして指し示して練習します、はじめに一発打ちで姿勢と揃いを確認したら、みかん、と・と・とまと、りんごとばなな、いいいちご、かかかき、やったね、すーいーか、などですが、曲に使ういくつかの主要なリズムだけで結構です、しっかり声を出して打って理解できていればすぐ曲の指導に入ってもよいのです、細かい部分的に出てくるリズムや枠打ちバチ打ちなどは曲の流れの中で覚えていけば良いでしょう、ただ、この指導の間にしっかりと11の字の姿勢は作っておかなければなりません。
練習の姿勢は床にお母さんお座り(正座)で床を打つのは先生に集中しにくいものです、いすに座らせた方が落ち着いて長い練習にも耐えられます、そうなると練習用の台などが必要です、その他用具や太鼓のチューニングはこちらを参考にしてください。
11の字の姿勢について
スピード感の有る曲や、難しめの曲などはこの姿勢がしっかり出来ている ことによって、音が鋭くなり揃ってきます、この習慣を付けるのは早いう
ちにしつこく言う必要が有ります、フレーズの終わりやリズムの合間の休 符をしっかりとって次の拍を合わせる様なところをしっかり指示するよう
にします(すべての小節やフレーズの末尾に指示するとかえって疲れてい い加減になりますので大事なフレーズごとの方が良いでしょう)。
姿勢は肩の幅よりやや広めに腕を垂直に立ててその延長にバチも垂直にし っかりと握ります、肘はわき腹のすこし前で手首はあごの高さぐらいがち
ょうど良いでしょう、 タイミングは打った後に鋭く跳ね上げて11に戻します、3つ打ちなら、み・か・ん・の、 ん、を打ってすぐはね上りを鋭くそのまま11の字にもっていきます、ん、
の後ではなく、ん、の内と言ったほうが正しいのです、3拍目の裏拍より早めに鋭く突き上げます、「み・か・ん・ぴっ!」と4拍目の休符にバチ
を立てるのではありません、これでは3拍打の動作ではなく3打1上げ、 と言うような4拍の動作になり、打ち方も歯切れの良くない打面にバチを
押し付けるような奏法になり、早いリズムにもついていけなくなります、 休符は11の字の停止状態になっているのが良いのです。
幼児の体格の違いに関係なく打面までのタイミングが均一になるのがこの
11の字の姿勢で、指導者の視覚的にも確認しやすく揃えやすい姿勢です、 幼児版アップストロークとも言えるこの11の字は将来のスティックワー
クにも生かされます、ダウンストロークやバウンス、タップなどよりも自在なアップストロークの方が難しいからです。
2.絵譜を使った曲の導入
はじめる前にちょっとだけ姿勢や音の揃いと元気さをチェックします、 次に曲の導入部を丁寧にイメージを伝えます(絵譜は見せないほうが?)、音楽の始まりをスキャットか何かでイメージ付けしながら、バチなどの
手振りを合わせてみます(まだ皆何も持ってなくて何も見てない?)
「わかった?」「わかったあー!」それではこれを見て下さい!(1列見せる) 「大きな声で言ってみよう!」「あ!すごい!かっこいい!出来そう!?」
「じゃあ!リズムスティックを渡します!お行儀のいい人からだよ!」 しっかりと出来るようになったらすぐ音楽と合わせてみます、但し、ほんの
ちょっとだけ、すぐ止める、このほんのちょっとを鋭い打ち方でかっこいい!! と感じるまで数回繰り返します(これでこの曲を演奏するイメージが決まります)
ここから常に練習の始まりは鋭く格好良くを意識しましょう。
3.絵譜の第2段階
曲にカッコ良く入ることが出来たら、1行ずつハッキリ口唱和させて今度はどん どん進めます、少しくらいできなくてもしっかり引っ張って全体像をつかませるのが進め方の基本です、
しっかりとつながったリズムを声に出すことが先です、声と打ちまねだけでもかなり進められます、次にバチを使って打ってみる、音楽に合わせてみる、と言う手順ですが、太鼓を使うとき音楽と合わせるときは出来ているとき、と言うのが理想です、何人かの子供がうまくいかなくてばらついても理解していれば次に進めて行っても良いのですが、一列ごとにかっこよく出来ていれば楽しさは最高です。
でもなかなか出来ない難しいところもあります、そこから研究時間?そして子供たちに質問「難しいとこはどこですか?」絵譜を指して教え
てもらって皆でやってみます、自分の出来なかったところをハッキリ自分で言っ て、みんなと一緒にやってみます、ハッキリ口で言って出来そうなら打ってみる、合わせられそうならそこまで音楽と合わせる、の繰り返しです、難しいところも時間が許せば子供たちから引き出した方が出来ないところへの積極性が生まれます、先生は出来るためのポイントを説明してあげてください。
大きな音で音楽と合わせるのは結構疲れるものです、また大きな音を聞き続けるのは耳にもよくはありませんので、小さな小さな声で鋭く言う練習をして音楽も小さく鳴らしてやって見ると、かえって集中力が上がって先生の声も通りやすくなります、,小さな音や途中でボリュウムをゼロにするなどのいじわる練習の方がかえって音楽に集中する練習になるのです、ついでにバチの代わりに割箸などを使って静かに歯切れの良いリズムで打ってみましょう!たとえ、爪楊枝のようなバチを使ったとしても11の字はしっかり!。
4.絵譜の最終段階
最後まで出来るようになったら、大丈夫そうなところから絵譜を隠していきます (紙を貼る?)、たまに一人でやってみさせて英雄を作ってあげましょう(もちろ
ん!優等生は後回しです、でもちゃんと褒める場面は作ってください)。 だいたい覚えたら(完ぺきでなくてもいいんですよ)、絵譜は後の壁に貼ります、
そうです先生にしか見えないのです、ここから、皆は先生の指揮に集中するのです、 音楽は常に1点集中が基本です!そして常に楽しく、揃ってない、へたくそ!は子供だってわかってます、どうすればいいかを発見すればいいのです、出来てないところがいっぱいなのは出来たらうれしいところがいっぱい有るのです。
リズム絵譜の解説プリントはこちらから印刷できます
幼児の集団に伝えるときに注意すること
子供を集中させ伝えることが苦手な新人の先生がいますが、まず先生が落ち着いて子供たちをよく見ることです、馴れない先生は見ているようでどこも見ていないことがよくあります、まだ何人かの子供がよそを向いておしゃべりしているときに、それに気づかずにか無視してか一生懸命お話している先生もいますが、子供が自分に集中していないときにお話ししないことです、皆がしっかり自分の方を向いていることを確認してからお話してください、子供が集中しないのではなくてあわてているだけなのです、まず先生が落ち着くこと、様子を見てからタイミングを見計らって、はっきり「はい!先生の方を向いて!おしやべりはやめてください、いいですか?!!」と言って又確認、「はい、それではお話します」と、ゆったりとお話を伝えてください、いつまでもおしゃべりが終わらないときはあえて肉声で小さな声でぶつぶつと話してみるとしーんとすることもあります、
マイクを使っている園もありますが、強くてもBGMのように上から降ってきて響き渡る声よりは、一点から出る肉声の方が集中しやすい事も覚えておいてください、子供たちが集団のときに集中しない、お話を聞けない癖をつけるのは教師です、家庭には子供の集団はいませんから。
幼児言葉については、園によって園内放送にも幼児言葉が含まれていることがありますが、幼児言葉は必要ありません、全体の会話や行動が緩慢になって、子供たちの反応が低年齢化するだけです、ある意味、年配の政治家が「えーーあのーーそのー件にぃーつきましてーはあー」と同じようなもので、先生が次の行動をてきぱきと話さないで間を持たせるための様な会話が幼児言葉になっていると言えるかもしれません、行動が遅めの先生が幼児言葉を使う傾向が強いと見ている園もあります、幼児はしっかりと大人の言葉についてこれますから丁寧な話し方であればよいのです。
子供たちと対面している時間には限度があります、ウルトラマンのように赤いランプが点滅しだすまでのタイマーが常に作動していると思ってください、集中させててきぱきとしっかり物事を伝えなければならないことは、音楽に限ったことではありませんが、鼓隊はそれらのテクニックが最も発揮できる場ですから鼓隊指導はしっかり取り組むと先生の指導テクニックも向上させてくれます、でも、普段の保育から集中させて確実に伝えるようにしていなければなりません、音楽の技術ではなくて日頃の生活のあり方が音楽リズムの伝わり方にもつながっていくのです。
|